その様な環境に育った私がこの「人形」の世界に傾倒し、生涯の仕事とするのに何の抵抗もありませんでした。
そして現在、「人形」をこよなく愛する多くの人びとと共に、また、それらの人びとのために少しでもお役に立てる事をとても幸せに感じております。
では、私の心をこれほどまでにさせた「人形」とは、いったい何なのでしょうか?
日本の人形はその歴史を調べれば調べるほど、外国の人形にはない素晴らしい発展を遂げてきました。
「日本は人形の宝庫である」と言われるほど、日本には沢山の種類の、そして芸術性の高い人形が作られてきました。
私たちの祖先は、この人形を作るために繊細な技術と発想で、幼い子どもたちへの暖かな愛情から、長い年月をかけて数多くの素晴らしい人形を作り出してきました。
元来、「人形」が信仰やまじないの対象として生まれたのは世界共通です。
そこから、子どもたちの遊びに伴う愛玩、そして鑑賞などが入り混じって発達してきたわけですが、日本ではそこに『雛』という特色のあるものが加わって、しだいに世界に類を見ない立派な人形が出来てきたのです。
どこの国にも、様々な人形がありますが、「おひな様」と敬称で呼ばれ、昔も今も国民全体から愛されている例は大変珍しい事です。
また、幼い子どもたちの健康と幸多き将来を祈る、微笑ましい伝統的な人形祭り「ひな祭り」を、今も国民行事として持ち合わせているのは広い世界において日本だけなのです。
今回は、この日本の人形を代表する「ひな人形」を、色々な素材を使い、自由な発想で作るために、参考作品と、その作り方を紹介いたしました。
「ひな人形」を子どもたちと共に作る過程で、われわれの祖先がいったいどのような気持ちで「ひな人形」に接していたかを感じていただければと思います。
優しく心豊かな気持ちで作っていただければ、その「ひな人形」は、きっと二つとない子どもたちの宝物になる事でしょう。
そして子どもたちにとって「ひな祭り」という遊びが、大人の愛の祈りに支えられながら、いつまでも続けられることを願い、本文に入ります。